2012年5月12日土曜日

大阪大学人間科学研究科/人間科学部_教育環境学講座_



 環境教育は分かるけれど「教育環境」という言葉はやや聞き慣れない、と思われるかもしれません。誕生から幼児期、児童期、青年期そして成人期に至るまで、私たちを取り巻いている「環境」は、人間の成長や発達にとても大きな影響を与えています。環境には「人的」なもの、「空間的」や「動的」なもの、あるいは「時間的」なものなどがあり、それらが十分に保障された状態にないと、人間のよりよい成長・発達あるいは学びが阻害される可能性があります。その上、現代のように複雑化・高度化した社会では、環境そのものの多様化も急速に進んでいます。
  教育環境学講座は、教育制度学、教育社会学、教育文化学、生涯教育学の4つの分野から構成されています。教育の場は、家庭や学校そして図書館や公民館などはもちろん、働く場所や、住んでいる地域など、多種多様なものがあり、それらはしだいに大きく変貌してきています。本講座では、このような学びの場所や機会が、今どのような状態にあるのか、これまでどのような変化をたどってきたのか、そして今後はどのような形態や組織構造になっていくことが予想されるのかなど、量的な分析や質的な分析を加えて、理論提起や中・長期的な計画の策定をめざそうとするものです。
  人間の個人の状態や内面に焦点をあてる「臨床教育学講座」とともに、人間を取り巻く環境条件をどのように「最適化するか」を考えることは極めて重要なことであり、総合的で学際的な見地から、人と社会の幸せとは何かを追求する教育学の新たな分野の開拓に挑戦するものです。


原始的な教育は何ですか?

教授……………近藤 博之 KONDO Hiroyuki
准教授…………中澤 渉 NAKAZAWA Wataru *2012年4月着任予定

研究課題
 教育機会、教育と社会移動に関する計量的研究(近藤)
 教育と階層・労働市場に関する実証的研究(中澤)

 教育社会学は、教育学と社会学の境界に生まれた経験科学であり、教育事象を社会学の概念や方法を用いて研究する学際的な学問として発展してきた。さらに最近では、学校制度が社会生活のなかに遍く浸透することによって〈教育社会〉という固有の関心領域が生まれ、その実態解明のためにこれまで以上に学際的な取り組みがなされるようになっている。本研究分野では、そうした教育と社会の現実的な関連、変化のダイナミズム等に焦点をあてて理論的および実証的な研究を進めている。
 右に示した図は、過去1世紀の日本社会における教育達成の様子を、ホワイトカラー層出身者とブルーカラー・農業層出身者とに分けて整理したものである。各時代背景のもと、出身階層と教育の関連が安定的に推移してきた様子が描� ��れている。このような客観的資料により示される教育の現実を対象に、「なぜこのような関係が成り立つのか」「日本の現実は諸外国の場合とどう異なるのか」「問題を改善するにはどんな取組が有効か」といった問いが探求されることになる。そうした探求を通じて現代日本の教育と社会の現実に迫ることが、教育社会学の大きな課題となる。

教授……………小野田 正利 ONODA Masatoshi
准教授…………園山 大祐 SONOYAMA Daisuke
准教授(兼)……服部 憲児 HATTORI Kenji (大学教育実践センター)

ホームページ… http://educational-policy.hus.osaka-u.ac.jp/


私たちは聖書の我々のASVを得た方法

研究課題
 生徒・保護者・地域住民と学校・教職員の関係構造と参加制度に関する研究(小野田)
 フランスの移民の学業達成に関する研究、およびEUの教育政策の比較研究(園山)
 学生参加型のFD・教育改善に関する研究、および高等教育制度・政策に関する研究(服部)

 教育制度学は、家庭・学校・地域・企業等の様々な場面において、意識的あるいは無意識的におこなわれる数々の教育営為を対象にして、教育構造と社会構造の関連およびその変動を分析しようとするものである。実証的研究方法によって教育という社会現象を取り扱うという意味で、それは教育に関する社会科学ともいえる。
本研究分野では、3名の教員が持ち味を生かしつつ、それぞれの研究課題を追究している。
 小野田は、特に公教育経営をめぐる諸問題を、学校という組織を中心に分析し、行政権力−学校、学校−家庭・保護者・地域、教師−生徒、といった諸関係の内実を明らかにしようとする。
園山は、多民族国家として社会統合に腐心するフランスの教育政策や、EU各国との比較教育制度研究に取り組んでい る。服部は、大学教育実践センターに所属しながら、教育力の向上、学生の視点の銃士、ティーチングからラーニングへのてんかんへと進む大学教育のあり方について、理論・実践両面の研究をおこなっている。

教授……………平沢 安政 HIRASAWA Yasumasa 
教授……………木村 涼子 KIMURA Ryoko
准教授(兼)………山本 べバリー・アン YAMAMOTO Beverley Anne (先端人間科学講座)

ホームページ… http://lifelong.hus.osaka-u.ac.jp/


どのように南極でイグルーを構築する

研究課題
 多文化教育と人権教育に関する研究
 ジェンダーと教育に関する研究
 教育の国際化研究、多文化共生社会論、ジェンダー研究、セクシュアリティー研究

 本研究分野では学校教育や社会教育など、生涯教育についてさまざまな角度からアプローチするが、特に平等の実現や不平等の是正という観点から研究を行っている。
  例えば、男女間の不平等や性的役割の固定化による抑圧の問題は、現代社会が直面している大きな課題の一つである。男女間の不平等だけではなく、人種、民族、国籍、社会階層、社会的・地理的出身、年齢、障害の有無等の多様な差異に着目し、公正と民主主義を実現する立場から、公教育の理念・制度・カリキュラム・教材を再構築する必要性が強調されている。
  一人ひとりが充実した人生を送るためにも、より民主的でより公正な社会を実現することは生涯教育の基本的課題である。さまざまな場における教育・学習を通じて、学習者は自らが抱える問題を解決する道や問題解決を可能とする社会のあり方を模索するものであり、公正な社会を実現するためには、あらゆる集団や個人のエンパワメントを支援する教育のあり方が重要になってくる。
  したがって本研究分野では、社会的公正や民主主義を実現するための生涯教育について調査研究や理論分析を行い、政策提言や具体的な教育実践に資する研究の推進に取り組む。

教授……………志水 宏吉 SHIMIZU Kokichi

准教授…………高田 一宏 TAKADA Kazuhiro

ホームページ… http://kyokei.hus.osaka-u.ac.jp/

研究課題
 教育システム・学校文化に関する社会学的研究
 地域の教育力、学校と地域の連携・協働に関する研究


 「不登校」「いじめ」「低学力」「教師のバーンアウト」等、学校を舞台として、今日さまざまな問題が生じている。それらの問題は、個々の子どもや教師、個別の教室や学校の問題であるとともに、学校の文化や組織・制度総体が生みだしている問題でもある。なぜそのような現象が社会的に生みだされるのかを社会科学的な視点から明らかにした上で、個々の問題を診断し、介入する手立てを探求する。さらに、よりよい教育文化・学校文化の構築のために何ができるのかを、理論的・実践的に追求する。
現在のスタッフが扱っている具体的な研究テーマには、以下のようなものがある。1)学校文化と教育改革に関する国際比較研究、2)学力格差是正と学校改善についての理論的・実践的研究、3)マイノリティ集団の学� ��経験に関するフィールド研究、4)教員文化の特性と現代的変化に関する実証的研究、5)家族の教育文化の変容に関する質的研究、6)教育コミュニティの構築にかかわる理論的・応用的研究など。



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